永平寺の清流で育てられた、田邊酒造の越前岬

会社概要

蔵元三箇条 一、少量生産を手作りで丁寧に仕込む。和釜で米を蒸し、時間のかかる木槽搾りで高品質を実現する 二、極寒の一時期に集中した造りに徹底する。水も空気も澄んだ季節に仕込む、本流を。三、半年以上しっかり熟成させて出荷を。熟成させて酸味や甘味バランスを整え、持ち味豊かな酒を出荷する。吟醸酒は最低一年間は熟成させる。

昔ながらの和釜で火を使って 米を踊らせ、蒸しあげる

朝、7時。甑から蒸気が上がり、蔵全体が蒸し米の香りで包まれます。
田邊酒造では、今も、往年受け継がれてきた大・小2つの「和釜」を使って、
酒米を蒸しあげています。
早朝、釜屋(かまや)と呼ばれる職人が、和釜に水を張り、下から火を熾します。 そして、沸騰した蒸気を使い、甑の中の酒米を釜屋の絶妙な火加減によって、 最適な蒸し米に仕上げていきます。

和釜

「限定吸水」による細心の注意を払う洗米・浸漬

田邊酒造では、酒造りに最も重要な工程が、洗米から蒸しに
至るまでの原料処理にあると考えています。
特に、洗米・浸漬時における米の吸水率は、その後の麹作りや
もろみの出来に大きな影響を与えるからです。
通常、大吟醸クラスで行っていた「限定吸水」。
このやり方を純米酒以上の特定名称酒の酒造りで行っています。
酒米を10kgごとに小分けし、手洗いします。
酒米の品種や精米歩合、その日に使う水温によって、その都度、
吸水速度が影響を受けるため、ストップウォッチを使用して、
洗米・浸漬時間に細心の注意を払っています。

「酒造りの要」・酒質にあわせた手づくりの麹造り

様々な酒造工程の中でも昔より、麹造りは「一番の要」と言われてきました。 越前岬の麹造りは、造り手の五感をフルに使い、二昼夜かけて目指す酒質に合わせた麹を造っていきます。
麹菌を繁殖させるための室(むろ)と呼ばれる製麹室は常に30℃以上に保たれています。 その中で、菌糸の破精まわりや米の水分調整、品温管理を機械に頼らず、昔ながらの人の手によって管理しています。

越前岬の味を決める伝統の長期低温発酵

越前岬のもろみは、本醸造から大吟醸に至るまで、約1ヶ月間に及ぶ長期低温発酵を行っています。
仕込みのピークである12月~3月中旬までの寒さは、長期低温発酵には最適な舞台を整えてくれ、 1ヶ月間じっくりじっくりと赤ん坊をあやす様に、発酵を促していきます。 長期低温発酵を行うことにより、「雑味を抑え、透明感ある飲み口と骨格のしっかりした米由来の旨み」を引き出します。 生原酒はもちろん、加水や火入れ処理後の熟成酒としても味の骨格はぶれることなく、深みを増した理想的な味わいになっていきます。 このような吟醸造りの理想的な仕込みが出来るのも、「白山水系に由来する軟らかな仕込み水」、「和釜によって丁寧に炊き上げられた蒸し米」、 「南部流の理想的な突きハゼ麹」といった蔵のある環境と、先代杜氏から引継いできた伝統技法があってこそだと思っています。

丁寧に一枚一枚の酒袋につめる「もろみ」に思いを込めて…「木槽搾り」

約1ヶ月間に渡り大事に造り育てた「もろみ」を酒袋に入れ、ゆっくりと積み重ねていきます。 「木槽搾り」と呼ばれる昔ながらの搾り方で、 雑味が少ない柔らかな酒質に仕上がります。
プレス式の機械で搾る方法に比べ、搾りに約3日間を要する上、酒粕の割合が高く(清酒として搾りきれる割合が少ない)ので、 高級酒の搾りに用いるのが一般的ですが、田邊酒造では、本醸造から大吟醸に至るまで全量この方法を用いています。 時間と蔵人の労力はかかりますが、3日間の時間帯によって「あらばしり」、「中取り」、「責め」など、1本のもろみの搾りでも
様々なタイプの味を楽しむことが出来ます。

田邊 丈路 蔵元杜氏南部流杜氏

昭和55年生。大学卒業後、田邊酒造入社。
30年に渡り田邊酒造の酒造りを支えてきた鷹木美芳氏(南部流杜氏)に師事し、鷹木氏の引退まで、8年間共に酒造りを行う。平成23年、「第81回南部流杜氏資格選考試験」に30歳で合格。平成24年より、田邊酒造杜氏に就任。
「柔らかく、素直な味わい」。自然ともう一杯のみたくなってしまう飲み飽きしない酒造りが信条。また、オフシーズンには、全国の伝統産業や歴史の現場を毎年訪問。職人達との交流を通し、酒造りの新たなヒントを得ながら、自らも「わごころ(和心)」をコンセプトにしたイベントを行う。