蔵のある永平寺町松岡地区は、
清流の町と呼ばれ、戦前17もの酒蔵が
軒を連ねる福井県内有数の酒処でした。
九頭竜川から流れでる
綺麗な水で酒米を育て、酒づくりをし
本当の地酒としての
蔵の味を追求しています。
蔵元のある松岡は、福井市から永平寺・奥越へ向かう道中にあります。
永平寺町には、約750年前に道元禅師によって創設された曹洞宗大本山「永平寺」があり、
200名もの修行僧達が坐禅と読経の日々を送っています。
中でも、霊峰白山を源とする九頭竜川の下流に位置する松岡地区(旧松岡町)は
「清流の町」として知られ、夏場には鮎やサクラマスを求めて多くの釣り客で賑わいます。
また福井平野の中心部で米どころでもあります。
「清らかな水」と「米の育つ環境」、そして北陸独特の冬の寒さ…。
将に酒造りにおいては最適の環境で、小さい町ながら松岡には戦前17社の
蔵元が存在していたとされ、奥越などと並ぶ県内でも有数の酒処として知られてきました。
越前海岸の景勝地「越前岬」周辺 は、福井県の花である水仙(すいせん)の群生地として有名で、
冬ともなれば山の斜面を覆うように咲き乱れます。
時同じくして、そのころ清酒「越前岬」の吟醸造りも本番を迎えます。
冬の日本海の荒波と激しい吹雪に耐え忍ぶ水仙の如く、妥協せず、粘り強く酒造りに
徹したいという思いと、福井の景勝地の名を頂くことで「福井の酒」としての誇りを
持って酒造りに徹したいという思いが込められているのです。
清酒「越前岬」は、現当主田辺邦明と前杜氏鷹木美芳とのこれから「吟醸造り」に懸ける
熱い決意と新しく生まれ変わる田辺酒造の始まりでもありました。 昭和62年に現杜氏である
鷹木美芳が地方大手の蔵元から年間300石弱の小規模な当蔵へ入社。 大手メーカーへの
桶売り販売も終わり、酒蔵の減少が進んでいく中、 「少量をじっくり手をかけて、
まず地元の人に喜んでもらえる 酒を造りたい」という現当主田辺邦明の思いを受け、
2人 が導き出した答えが「徹底した吟醸造り」でした。
蔵の仕込み全体の平均精米歩合は56%で、「本醸造」以上の特定名称酒のみを醸造。
その中で大吟醸は少量タンクで5本以上は造らないという徹底した方針を打ち立てました。
平成16年に次男・丈路が入社。幼少期より接し、「越前岬」の味を支えてきた鷹木杜氏に師事し、
伝統的な南部流の酒造りと思いを引継いでいきます。 平成24年からは、33歳で蔵元杜氏として、
伝統を守り、新たな挑戦を続けています。
えちぜん鉄道は、福井県福井市から勝山市、坂井市を結ぶ鉄道路線です。
かつて、京福電気鉄道が福井県下で運営していた越前本線(現在の勝山永平寺線)・
三国芦原線を引き継いで運営するために設立されました。
田邊酒造の蔵の真裏には、えちぜん鉄道の線路が通っていて、蔵の中には電車の音が響きます。
えちぜん鉄道をご利用頂くと、「観音町」駅下車、徒歩2分で蔵に到着します。